『The Village Detective=村の探偵』と題されたデイヴィッド・ラングのアルバムは、映画製作者ビル・モリソンとのやりとりから生まれました。もともとは2016年、モリソンが作曲家ヨハン・ヨハンソンからメールを受け取ったことがきっかけであり、そこにはアイスランド沖の漁師の網に古いソヴィエト映画『Dervenskiydetektiv(1969)』のフィルム・リール4巻がかかったことが書かれていました。モリソンはこの出来事に興味を持ち、新たな映像製作を構想します。それによると海の底には盗まれたアコーディオンも沈んでおり、モリソンはこの音色が物語になくてはならないものと考えました。しかし、映像化を現実にすることなく2018年にヨハンソンはこの世を去ってしまいます。モリソンはそのままアイディアをラングにもちかけ、この奇妙なサウンド・トラックが完成したということです。郷愁を誘うアコーディオンの音色と透明な歌声が、聴き手を海の底に沈んでいた忘れられた世界へといざないます。 (C)RS