レビュー情報

タイトルにある通り本作品は群像劇である。主軸の話はもちろんあるけれど、基本的には色々な視点で結婚主義国家というものを感じていくことになる。

本作品で一番に感じたことは「必ずしも幸せな話ではない」というところだ。
あらすじにある通り男性は18歳、女性なら16歳までに結婚しなければ処刑されてしまう。それはそれぞれの恋愛に対して色々な枷を敷いてしまう。
そんな制限された中で恋愛をして、結論を付ける。後悔もあれば、その中から幸せを見つけ出すこともある。
そして、本作品はそんな彼彼女達の話である。

そんなあらすじでもわかる話はともかく、個人的に良いと思ったのは人物の心情が伝わりやすく、話に引き込まれていくのを実感していく点だろうか。
たとえば、最初の主人公は様々な方法で桔梗に相対していく。その内容は本当に様々であり、土下座から脅迫までするのである。しかし、それは突然ではなく、焦りや恐怖の心情がきちんと表現されており、そこに至る点も納得できるのだ。
更に言えば、個別の話は独立しておらず、色々な形で後の話に繋がっている。前のキャラが行った行動が次につながっていく。クリア後のSSのタイトルを見れば深く納得をするものだった。
それこそが本作品を群像劇だと評する点であるのだが。

シナリオ以外の点であれば、グラフィックも安定している。少なくとも体験版をして満足できる出来だと感じるのであれば、十分に満足できると言える。数にしても一つのシナリオにつきイベントCGは五枚。最終シナリオはもっと多い。
音楽もそれぞれテーマ曲のような物があり、雰囲気にも合致している。物語への没入感を深めたことは言うまでもない。

一つ不満を挙げるとすればシステムだろうか。あくまで個人的にはという注釈がつくが、ウィンドウ濃度は薄めにしてグラフィックを楽しむので、そこが唯一といったところ。
とはいえ、UIに関してはスマホでも配信している点を考えれば仕方ないといえる。

総評としてはシナリオは非常に満足。終わり方もまさにハッピーエンドといえるので読了感も良い。
グラフィックや音楽も種類があり、それぞれ満足のいく内容だった。
プレイ時間も16時間くらいで値段以上に楽しむことができたと断言できる。

関係無い話にはなるが、本サークルのブログにプロットやシナリオの作り方などの話があるので、本作終了後に見てみるのも一興だ。