悪の法則

オーディオコメンタリー、吹き替え、字幕版、ディレクターズ・カット版など一通り全て見終えた時点での感想です。
まず見ていない方に説明するのは、決して「そうだったのか！」という感覚が楽しめる騙し合いサスペンス（いわゆるユージュアル・サスペクツ的な）映画ではありません。
欲がために悪の「世界」に手を出した弁護士が、悪の世界に何もわからないまま蹂躙され破滅する寓話です。

ベッドシーンの裏でバイカーがバイクを走らせている。
もうこの構図の時点で２人の人生は終わっていたわけです。
特に好きなシーンは、弁護士が救済を懇願する際に「世界は元々存在していたのだ」というあまりにも無慈悲な言葉に「わかっている！わかってる！」と言いながら車の中で悶える弁護士のシーンです。
とても悪趣味で、説明不足な映画ですが、必ずこの映画が好きだ！という人はいるはずです！万人受けではありませんがオススメです！

人間の心に潜み、多くは欲望によって、呼び覚まされる”悪”。
それは、ほんの出来心であっても、相応の報いを受けるものだ。

この映画「悪の法則」は、「ノーカントリー」の原作者のコーマック・マッカーシーが書き下ろした脚本を、リドリー・スコット監督が映画化した作品だ。

この映画は、米国とメキシコの国境地域を舞台に、カウンセラーと呼ばれる弁護士が、一時限りのつもりで、裏ビジネスに手を染め、窮地に追い詰められていくサスペンス劇だ。

恋人のペネロペ・クルスと婚約し、幸せの絶頂にいる弁護士のマイケル・ファスベンダーは、友人のハビエル・バルデムと、メキシコの組織との麻薬取引に手を出していた。

麻薬の仲買人のブラッド・ピットは、弁護士に裏社会の危険性を警告するが、彼らは既に逃れられない罠にはまっていた。

彼らに何が起きたのか、取引内容の全容は何なのか--------。

悪の輪郭は、不明瞭で掴みきれないが、その曖昧さが、得体の知れない恐怖を増幅させていく。

身に覚えがないまま、組織の標的にされた弁護士は、肉体を直接、痛めつけられないものの、組織の残虐さを示す会話が伏線となり、最後に彼に残酷な衝撃を与えるのだ。

心から愛する婚約者と過ごす時間、婚約指輪についての、一見、他愛のない女同士のおしゃべり。

純真さは、時に相手の心に潜む悪を、刺激する触媒になるという法則を、そんなシーンに見てとる事もできる。

そして、物語の鍵を握るのは、ハビエル・バルデムの恋人で、チーターのように、しなやかで妖艶な美女を、キャメロン・ディアスが演じている。